大手毬が今年も見事な花をつけました。まだ薄いグリーンですが、1週間もすると純白の見事な花を枝いっぱいにつけて咲き誇ります。英国庭園の展望台のあたりに咲いているので、駐車場からその姿を楽しんでいただけます。もちろん、お庭に上がって間近でご覧いただければうれしいです。昨年、花がつきすぎて枝が折れそうになったので、少し枝を間引いてやりました。今年はその分、整ったかっこいい姿になっています。
水仙、桜(ソメイヨシノ、陽明)、花桃と次々と早春から新緑の季節まで楽しませてくれている花や木々たち。いよいよ新緑の季節の到来を告げる大手毬(オオデマリ)の見事な姿を楽しみにお越しください。大手毬について書いたエッセイを掲載します。
大手毬の開花
(備北民報 2013年5月21日掲載の連載エッセイ「紅茶の丘の物語(第94回)」より加筆修正したものを掲載します)
2003年ごろのこと、園芸店で入手した大手毬(おおでまり)が今年も多くの花を咲かせています。英国庭園というにはあまりにも寂しい状態だった庭の一角の少しだけなだらかな場所に植えました。周りには何もないただの草原に植える場所を決め草を刈り穴を掘りました。植え込みが済むとその横にベンチを置きました。将来ここは展望デッキになるんだと夢を描きながら作業しました。大手毬は手毬花(てまりばな)とも呼ばれます。でも、大手毬の方がいかにも立派に聞こえるので我が家ではこう呼んでいます。立派な花は5つの花びらが集まって一つの花を形成しています。その花がたくさん集まって、手毬が咲いているかのように見えるためにこの名がついたとか。
さて、5月になると薄い緑色の花が徐々に白く変化していくのですが、今年はいきなり白色の花が咲いたような気がするほど突然の満開でした。どうやら先週の夏日が続いたことが大きな原因のようです。草原の中に一本だけポツンと植えられた大手毬は雪や風、夏の日差しにも負けずに成長してくれ、今では立派な落葉樹として庭の中でも存在感のある木になりました。駐車場から大佐山を見上げると展望デッキの横に真っ白い花を咲かせている大手鞠がお出迎えします。大手鞠というくらいだから小手毬もあるの? と思いますが、あるんです。こちらは背は低く柳のように細長い枝に小さな花びらが5つ集まった球形上の小花が咲き誇ります。半日陰を好み、木というよりも草花のような姿はあまりにも可憐でこの季節の庭には欠かせぬ存在です。
春先の花の色は虫が黄色を好むので黄色い色をした花が多いと以前書きましたが、5月の初夏の季節には白が多い。これも虫のお好みに合わせているのでしょうか。この二つの花は親子のようにも兄弟のようにも見えるのですが、大手毬はスイカズラ科で小手毬はバラ科です。同じような時季に同じように咲くのを見ると庭は生物学の宝庫だと思うのです。
この白い花たちを詠った俳句をご紹介します。
大でまり小でまり佐渡は美しき(高浜虚子)
では、私も一句。
大でまり小でまり紅茶の香りかな。お粗末でした。