紅茶農園主のブログ

あなたのお庭はどんな庭?

2021年5月2日

今年もガーデニングのシーズンがやってきました! イギリスでももちろん5月6月って最高のシーズンですよね。6月? そう、この季節は日本では雨が多い(今日も降ってる…涙)ですが、梅雨がないイギリスはこの季節が最も華やぐシーズン。今回のエッセイは今から8年前の原稿ですが、いよいよこれからだねっていうウキウキした気持ちから書いたものでした。チェルシーフラワーショーは昨年は異例の中止(先の大戦以来初)という状況でした。今年は9月に延期されたということです。それでも、季節は変わり花は咲く。9月に笑顔でフラワーショーが開催されたらと願うばかりです。

ロンドン市内の週末のフラワーマーケット

(備北民報 2013年5月28日掲載の連載エッセイ「紅茶の丘の物語(第95回)」より加筆修正したものを掲載します)

 この季節、5月から6月にかけてイギリス国内ではあちこちの公園や庭を利用してフラワー・ショーが開催されます。その中でも有名なのが5月に開催されるチェルシー・フラワー・ショーです。なぜ有名かというと、全国でトップを切って開催され、新種の発表もあるからです。園芸好きの国民の注目度も半端じゃありません。チェルシーはテムズ川沿いの地区です。フラワー・ショーはチェルシー・保養院を会場に開かれるのですが、今年(2013年)は5月21日〜25日に開催されました。チェルシー地区には著名人が多く住むことでも知られていて、古くは戯曲「サロメ」を書いたオスカー・ワイルド、「知識は力なり」の著者であるフランシス・ベーコン。ミュージシャンのミックジャガー。元英国首相マガーガレット・サッチャーさんもこの地区に住んでおられました。007のジェームズ・ボンドさんもこの地区在住(公表してもいいのかなぁ)。名探偵ポアロシリーズで有名で「あなたのお庭はどんな庭?」を書いたアガサ・クリスティー。

 会場にはこの物語の中で名探偵ポアロも足を運んでいます。新種のバラ「ポアロ」が発表されたためです。この時、ポアロは一人の老婦人と出会います。そして、ストックという花の種の袋を手渡されます。しかし、開けてみると中には何も入っていなかった・・・。そして手紙が届き、家に来てほしいと。行ってみると庭の花壇には牡蛎(かき)の殻と銀のベルが埋められていました。ポアロの頭に浮かんだのは「メアリ、メアリ、へそまがり あなたの庭はどんな庭? シルバーベルにトリガイの殻・・・」(マザーグースより)という歌でした。物語はここから始まっていきますが、いつも一緒に行動する助手のヘイスティングス大尉は同行していません。なぜでしょう?彼はこのところ極度の花粉症に悩まされていて(と自分で思い込んでいる)家から出られないのでした。この季節に家から出られないのはイギリス人にとって、あまりにもつらいことです。

 いつもながらの見事な推理で事件は解決していきますが、テイスティング大尉のクシャミの原因が後日判明しました。花粉症ではなくてポアロのオーデコロンが原因だったのでした。5月になると現れる私のくしゃみも花粉症じゃないかも。誰かがうわさしてるのかなぁ。