紅茶農園主のブログ

紅茶は火曜が温かい?

2021年2月23日

(備北民報 2016年2月2日掲載の連載エッセイ「紅茶の丘の物語(第228回)」より加筆修正したものを掲載します)

 暦によると2月4日は立春です。四季を分ける日として立春・立夏・立秋・立冬の4回あるのですが、江戸時代の頃より冬から春へと季節が変わるこの立春はなにやら華やいだ特別な日として扱われていったようです。この季節を分ける日の前日を節分といいまして、これも元々は4回あった。その中でもやっぱり春の節分は特別な意味を持っていて、誰しもが待ち望む春への思いの高揚が節分という大切な行事として残っていったのでしょう。春を迎える行事といえば東大寺二月堂でのお水取りが有名です。元々旧暦の2月1日から行われた行事ですが現在の暦では3月1日からとなっています。お水取りでは「お松明(たいまつ)」と呼ばれる火の粉を飛ばしながらの豪快な場面が有名ですが、修行僧の歩く道を照らす為のものでした。この火の粉を浴びると無病息災や邪気を払うなどとされる有名な行事となっています。これと同じように火を使う行事がイギリスでも行われます。毎年2月2日は聖燭祭と呼ばれる行事があります。ちょうど今日ですね。蝋燭(ろうそく)に火を灯して行列を行うという宗教行事です。思いつくだけでも大晦日には大かがり火を焚いて悪霊を追い払うという習慣もあるし、19世紀イングランドでは新年6日に「十二夜の大かがり火」と呼ばれ、火を焚いて今年の無病を祈りりんご酒を飲むという習慣がありました。やはり冬は寒いし暗いわと大変なわけですが、だからこそ火の存在は体を温め様々な危険から身を守ってくれる大切なものとして必要だったのでしょう。現代では漆黒の闇の中で身を守るには松明をかかげるよりも、早く家に帰って戸締り用心火の用心の後に、温かい紅茶を飲むに限りますね。たっぷりとすりおろした生姜とハチミツをティーカップに加えてよく混ぜ、お好みでレモン汁少々。その上から熱々の紅茶を注ぐ。体が温まり気も鎮まってリラックスできるという意味では火と紅茶って何か似ていますね。この連載も毎週火曜日。不思議な縁がありますねぇ。