去年の話で恐縮ですが、格安のヤード・オ・レッドを手に入れました。ヤード・オ・レッドって英国の職人が手作業でつくる銀製品ペンメーカー(という言い方が正しいのかな?)。たまたま、ほんとに偶然に格安で手にすることができてびっくり。数千円でした。ウソでしょ? これがあるから古道具探しはやめられぬ。このペンは、実はスターリング・シルバーじゃなくて、ロールド・ゴールドと呼ばれる金を主体にしたもので、多分シルバーのものよりかは人気がないのかも。でも、このデザインはヘキサゴンと呼ばれる6角形のプレーンタイプで人気のあるシリーズであります。ラッキー🎵 とまあ、ここまでは良かったのですが…
分解して、先端に 1.18mm の芯を差し込んで、本体にねじ込んで固定します。あとは軸尻を回していけばペン先から鉛筆の芯が出てきます。繰り出し式ペンシルというやつですね。探していた甲斐があったわと喜んで文字を書いてみると、なんか変? 最初は気がつかなかったんですが、どうもバネが弱いのか僕の筆圧が強すぎるのか、書くとペン先の芯がその度に沈んでしまうんです。書けないわけじゃないけれど、どうもフワフワする感じがシックリこなくて「あーまたまた失敗したか!」と思って安物買いのナントカとは俺のことよ。フフフ。などと…いや、思いたくない! たとえ格安で手に入れたからといって、このままお蔵入りではあまりに悔しい。なんとかしたいなぁと考えていると、妙案が浮かびました。それが「鉛筆素描セット」に加えてデッサン鉛筆として使ってやろうという恐ろしく贅沢な思いつきだったのであります。手元にはこれまたコレクションしていた 1.18mm の4Bの芯があるので、デッサンには4Bあればいけるんじゃなかろうか。これはいいアイデア!
ヤード・オ・レッドの名前の由来は、ご覧の芯の長さが3インチあって、本体にこの芯を12本収納することができるようになっている。なので、3インチ×12本=36インチ。36インチは1ヤード。また、鉛筆の芯は鉛からできているから「lead・リード」(鉛は英語でリード)なので、1ヤードのリード。これが鈍って(汗)ヤード・オブ・リードがヤード・オ・レッドになったのだとか。
さて、文字を書くにはちょっと書きにくかったヤード・オ・レッドですが、4B鉛筆芯に変えてデッサン用に使うとあら不思議。もう最高の描き心地。線を細くも太くも、弱くも強くも自由に描けます。微妙に沈んでくれるのが線を引くにはとても心地良くて涙もの。普段はこいつと消しゴム。それにこれまたセールで安く手に入れたモレスキンの小さいスケッチブックを手元に置いていつでも気ままに鉛筆画が描ける準備が整った次第です。多分製造されて60年もそれ以上経っているだろう伝統ある道具を使える喜び。上手く描けるとかはどうでもよくて、一流の職人の手でしっかりと作り込まれた道具で描かせていただける喜び。もうそれで満足。