愛用のインクの一つにモンブランのロイヤルブルーと呼ばれているものがあって、ちょっと上品な冴えたブルーの発色が好きで使っています。インクがいよいよなくなるというので、新たに一瓶新調して購入しました。原稿書いていた最中にインクが途中で切れてしまい、使っていた瓶も空っぽになっていたので慌てて新品のロイヤルブルーを取り出し、封を開けて149に注入して書き始めた。するとなんか様子がおかしい。色が薄い。写真の上の行がそれ。写真だと綺麗に見えますが実際にはもっと薄くて、うーん。こりゃあロイヤルブルーじゃないわい! 新品なのに…さては海外からの輸入品であるから、これは偽物つかまされたかな? などと悶々と思いながら書き進めておりました。
さて、それから2日後のこと。同じように149で続きを書き始めたら下の行のように色が濃くなってる! これこれ。これがロイヤルブルーだ。でも、なんで? よーく考えてみたところ、瓶の中に封入されていた間、インクはほとんど空気にも触れることなく眠っていた。それが、封を開けて万年筆に注入される際に空気(酸素)に触れていました。空気に触れることでインク自体が変化していたのでした。この発見は我ながら新鮮な驚きと当たり前の物事を知らぬ情けなさで笑っちゃいました。でも、なるほどね。インクは生きているという発見と、地球だからこそ変化する(空気があるから)芸術作品みたいと感動した次第。実はこれと同じようなことが紅茶でも起こっております。紅茶は茶葉を摘み取られてからすぐ、製茶の段階でも空気に触れる(発酵する)ことによって徐々に色が黒く黒変してまいります。だからブラックティーという説もあるくらい。紅茶はこの地球が作り出した芸術作品。万年筆のインクもまた然り。なるほど、だから僕は万年筆に惹かれるんだ! などと思った次第であります。紅茶は万年筆だ! いや、万年筆は紅茶だ! (どっちでもいいけど…)