紅茶農園主のブログ

シェリーに口付け

2020年12月23日

(備北民報 2015年12月15日掲載の連載エッセイ「紅茶の丘の物語(第221回)」より加筆修正したものを掲載します)

 クリスマスを前にしてウキウキする華やいだ気持ちになるのは子どもだけではありませんね。それでも、やっぱり子どもは大人の何倍も楽しいクリスマスを過ごすことでしょう。それはなぜかって? 答えは簡単。サンタクロースを信じているからです。サンタなんている訳ないよと思っているあなたのために、本当のお話をいたしましょう。

 サンタクロースの到着は夜中遅く。暖炉の火も消え、子どもたちはベッドに靴下をぶら下げて、暖かなお布団の中でぐっすりと眠っている頃です。サンタを信じる良い子のもとに現れたサンタクロースは素敵な贈り物を。親を困らせる子どもの靴下には炭を入れます。各家庭ではサンタさんを労(ねぎら)うために暖炉の傍にシェリー酒を用意しておきます。子どもたちは、そっと部屋の物陰に隠れてサンタの到着を待ちますがいつの間にか眠ってしまいます。朝、素敵なプレゼントに大喜びする子どもが次に向かうのは暖炉のある居間。空っぽのワイングラスを見つけた子どもは思います。「サンタさん来てくれたんだ!」この習慣は国や地方によってはミルクやクッキーの所もあれば北欧のようにお粥を用意する所など様々です。

 また、国を挙げてサンタを信じてますという素敵なお話も。イブの夜、子どもたちへプレゼントを届けるため世界を駆け巡るサンタクロースさん。その安全を守るために北米航空宇宙防衛司令部(NORAD)が最新レーダーと戦闘機によってサンタクロースを護衛する任務を遂行しています。もちろん今年も行われます。この模様はホームページを通じて世界へリアルタイムで配信されます。今から60年前にCONAD(中央防衛航空軍基地)司令長官にかかってきた一本の間違い電話から始まりました。「サンタは今どこにいますか?」その問いに対し、部下にレーダーでサンタクロースを確認させた上で、現在の位置を伝えたのが始まりとなりました。それ以来、伝統としてノーラッドが現在その任務を受け継いでいるのです。

 さて、イブの夜は「シェリーに口づけ」(ミシェル・ポルナレフ)を聴きながら過ごしてみようかしらと思いつつも、我が家のサンタは紅茶がお好みなので、ミルクティーで乾杯といきたいものです。

※2020年12月24日の午後6時(日本時間)から今年も北アメリカ航空宇宙防衛司令部(NORAD)のサンタクロースの護衛が開始されます。これでサンタクロースが安心して世界の子どもたち(素敵な大人にも…)のために世界を駆け巡れるというものですね。