紅茶農園主のブログ

あした待たるるその宝船

2020年12月10日

(2015年12月29日掲載の備北民報連載エッセイ「紅茶の丘の物語(第223回)」より加筆修正したものを掲載します)

師走といえばということで、今回は赤穂浪士の歌舞伎「土屋主税」に出て参ります俳句に感動したというお話です。討ち入りのその日まで、仇討ちを悟られぬように外見はフラフラと過ごす義士の大高源吾が、俳句の宗匠の家に参りました(源吾も俳人であった)。西国のさる大名に召し抱えられたことを話します。二君(じくん)に使える愚か者よと、なんとも哀れな不忠者がと軽んじられます。別れ際に宗匠から「年の瀬や水の流れも人の身も」との諌めるような句を送るが、その下句(しもく)に「あした待たるるその宝船」と返します。宗匠は宝船とは召し抱えのことと思い不忠者と心で嘲(あざけ)りました。第二幕で本所松坂町にある土屋主税(ちから)の屋敷でこの話を宗匠から聞かされた主税は「すでに仕官が決まっているならばあした待たるるとは申すまいぞ!」この下句は仇討ちに相違ないと気がつきます。やがて隣家で刀を交える音が聞こえてきました。隣家の吉良邸へ明かりを灯して赤穂浪士に力を貸す主税なのでした。主税の元へお力添え忝(かたじけな)いと伝えに来た大高源吾のカッコ良いこと。こんなふうに人生の王道を歩きたいものです。自分にとっての「あした待たるるその宝船」とは如何なるものか。これはもう「世界に通用する本物の紅茶をつくる」ことだから、先ずは紅茶に真摯に向き合い、精進あるのみと気を引き締めたところでございます。

Aさんからいただいた愛宕柿の干し柿

 知人のAさんが帰省されたお孫さんたちと一緒に岡山市内からお越しくださいました。昨年はソリ遊びができたと大喜びでしたが、今年は全く雪がなくびっくりぽんです。お土産に手づくりの干し柿をいただきました。干し柿は西条柿で作るものと思い込んでいましたが、いただいたものは愛宕柿の干し柿。実が大きくて見るからに美味しそう。お正月までもう少し干すとよいと教えていただいたので、こちらは「4~5日待たるるその宝船」でございます。